🎓 卒業後の学び

知的障害のある人が
「大学で学べる」場所がある

特別支援学校を卒業したら、学びは終わり?
いいえ。大学のキャンパスで、大学の先生から学べるオープンカレッジ。
在宅でも学びが届く訪問カレッジ。4年間じっくり学べる福祉型カレッジ。
「学ぶ権利」は卒業したら終わりじゃない──その選択肢を、ここにまとめました。

🎓 オープンカレッジとは

知的障害のある人が、大学のキャンパスで、大学の先生や学生と一緒に学ぶ公開講座です。正規の学生ではありませんが、「学ぶ権利」と「発達する権利」を保障する取り組みとして、1995年に東京学芸大学で始まり、全国に広がっています。

📊 現状の数字

2017年の調査では、大学のうち「障害者を対象とした講座」を実施しているのはわずか3.2%
令和2年度の文科省調査では34大学がアンケートに回答し、14の先進事例がヒアリング対象に。
まだ少ないですが、確実に広がっています。

🏫 大学のオープンカレッジ

知的障害のある人が大学生と共に学ぶ公開講座・プログラム。各大学の特色を活かした多様な講座が開かれています。

関東

🎓

オープンカレッジ東京

東京学芸大学(東京都小金井市)
1995年開始 ── 日本初の知的障害者向け大学公開講座。知的障害のある成人を対象に、大学の教員・学生と共に学ぶプログラムを継続的に実施。日本のオープンカレッジの原点。
日本初(1995年〜) 東京都

東北

🌳

杜のまなびや

東北大学(宮城県仙台市)
知的障害者12人+大学生12人のペアで学ぶスタイル。大学の研究者が講師を務め、知的障害のある人と大学生が「ともに学ぶ」ことで双方に学びが生まれる実践研究としても注目。
ペア学習 宮城県

近畿

🤝

ふれあい大学

龍谷大学 短期大学部(京都府京都市)
日本で唯一、正課授業として組織的に実施しているオープンカレッジ。毎週火曜の午後に「障がい児者学習支援特講」「音楽療法特講」「演劇療法特講」などをリレー形式で開講。受講生1人に短大生1人がアドバイザーとして寄り添いながら学ぶ。
詳細はこちら →
正課授業 音楽・演劇療法 京都府
🌍

大学公開講座「大学で自分の世界を広げよう」

神戸大学(兵庫県神戸市)
2003年度に開始。発達科学部(現・国際人間科学部)を中心に、知的障害のある成人が大学で学ぶ機会を提供。地域の福祉施設や特別支援学校との連携も特徴。
2003年〜 兵庫県
🎓

オープンカレッジ(日本初の取り組みの一つ)

大阪公立大学(旧・大阪府立大学)(大阪府堺市)
1998年開始。「障がいの有無に関わらず誰もが持つ『学ぶ権利』『発達する権利』を保障する」という理念のもと始まった、日本初期のオープンカレッジのひとつ。
詳細はこちら →
1998年〜 大阪府

中部

📚

知的障害者の大学教育を拓くプロジェクト

日本福祉大学(愛知県知多郡美浜町)
綿祐二教授を中心に、知的障害者を対象とした大学教育プログラムの実践研究を推進。福祉系大学としての専門性を活かし、障害者の高等教育へのアクセスを広げる取り組み。
詳細はこちら →
愛知県

🌿 福祉型カレッジ

障害福祉サービス(自立訓練+就労移行支援)を活用した4年制の「大学のような学びの場」。正式な大学ではありませんが、大学のようなキャンパスライフを送りながら社会に出る力を身につけます。利用料は福祉サービスとして基本無料。

🌱

ゆたかカレッジ

社会福祉法人 鞍手ゆたか福祉会(全国5拠点)
2012年開校。4年制(1・2年次=自立訓練、3・4年次=就労移行支援)。「自主ゼミ」で自分の選んだテーマを1年間研究し論文発表するなど、大学さながらの学び。全国5拠点(福岡・長崎・東京早稲田・東京高田馬場・川崎)。2018年時点で約180名が在籍。
公式サイト →
4年制 自主ゼミ 福岡・長崎・東京・川崎
🏫

カレッジ旭川荘

社会福祉法人 旭川荘(岡山県岡山市)
知的・発達障害のある18歳以上が対象の4年制。2年間の自立訓練(生活訓練)+2年間の就労移行支援で、自立と就業を目指す。福祉専門職員と教員免許を持つ職員がチームで個人の学習計画を作成。隣接する旭川荘厚生専門学院との合同イベントも。
公式サイト →
4年制 個別学習計画 岡山県

📖 専攻科・福祉事業型専攻科

特別支援学校高等部の上に設置される「もう少し学びたい」人のための課程。学校型の専攻科と、福祉サービスを活用した福祉事業型専攻科があります。

📘

旭出学園 専攻科

学校法人 旭出学園(東京都練馬区)
特別支援学校高等部の上に3年間。21歳まで学べる。「主体的に・豊かに・楽しく」を掲げ、社会に出るための力を丁寧に育てる。
公式サイト →
3年制 〜21歳 東京都
🎵

エコールKOBE

福祉事業型専攻科(兵庫県神戸市)
福祉サービスを活用した福祉事業型専攻科。神戸大学と交流しながら学ぶ機会もあり、大学生との共同学習が特徴。「学び」と「生活力」の両方を育てる。
公式サイト →
福祉事業型 神戸大学交流 兵庫県

🏠 訪問カレッジ ── 通えなくても学べる

重度の障害があって医療的ケアが必要で在宅の方に、「学び」を届けにいく取り組み。学校を卒業した後、「もう学ぶ場がない」という課題に応える、画期的なプロジェクトです。

🏠

訪問カレッジ Be Prau

一般社団法人 ケアの方舟
2017年に「重度障害者・生涯学習ネットワーク」を設立。文科省「学校卒業後における障害者の学びの支援推進事業」として採択。

福祉と教育の専門家がコンソーシアムを組んで在宅を訪問し、音楽、アート、感覚刺激などの学習活動を提供。「移動できるかどうかで、学ぶ権利は決まらない」という理念を体現しています。

令和5年度 実践研究報告書(PDF)→
文科省事業 在宅訪問 重度・医療的ケア

💡 訪問カレッジが解決する課題

特別支援学校を卒業した後、重度障害のある方は「生活介護」事業所に通うことが多いですが、そこでの活動は日中のケアが中心で「学び」の要素が限られがちです。訪問カレッジは、卒業後も「学び続けたい」という本人・家族の声に応える取り組みです。

🌍 海外の動き

日本ではまだ少ないですが、海外では知的障害のある学生が大学で学ぶのは珍しくありません。

🇺🇸

Think College(米国)

マサチューセッツ大学ボストン校が運営するネットワーク
米国で300校以上の大学が知的障害のある学生向けのプログラムを提供。職業訓練だけでなく、教養科目、キャンパスライフ、インターンシップなど大学生活全体を経験できる。
Think College 公式サイト →
米国 300校以上
🇪🇺

JoinIN(欧州)

European Network for Inclusive Higher Education
欧州各国の大学がネットワークを組み、知的障害のある学生のインクルーシブな高等教育を推進。大学間での知見共有やプログラム開発を進めている。
JoinIN 公式サイト →
欧州 大学ネットワーク
🇯🇵

相模女子大学 インクルーシブプログラム

相模女子大学(神奈川県相模原市)
特別支援学校卒業生が大学生と一緒に学ぶプログラムを実施。日本の大学における先駆的な取り組みのひとつ。
公式サイト →
神奈川県 インクルーシブ

🏘 地域の学びの場

大学だけではありません。身近な場所にも学びの場はあります。

🏛

障害者青年学級

各地の公民館・生涯学習センター
料理、音楽、スポーツなどを仲間と楽しみながら学ぶ場。卒業後の「居場所」としても大きな役割を果たしています。
お住まいの市区町村の公民館や生涯学習センターに問い合わせてみてください。
全国各地 公民館ベース

📖 文科省「障害者の生涯学習の推進」

文科省は2017年から障害者学習支援推進室を設置し、学校卒業後の学びを支える政策を進めています。地域の施設での障害者向け学習実績は、文化・芸術活動(49.1%)、余暇・レクリエーション活動(41.3%)、スポーツ活動(35.0%)と広がり始めています。